人事労務ニュース
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文書作成日:2016/04/26

労基署是正指導により支払われた割増賃金支払額は前年度より大幅に増加

 賃金不払残業はかなり前から人事労務管理の大きな課題になっていますが、先月、厚生労働省より「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成26年度)」が公表されました。これは、平成26年4月から平成27年3月までの間に労働基準監督署等による定期監督および申告に基づく監督等により、残業に対する割増賃金が不払になっているとして是正指導されたもののうち、その支払額が1企業当たり合計100万円以上となった事案をまとめたものです。その結果は、以下のようになっています。

1.是正企業数等の概況
・是正企業数:1,329企業(前年度比88企業の減少)
・対象労働者数:203,507人(同88,627人の増加)
・支払われた割増賃金の合計額:142億4,576万円(同19億378万円の増加)
・支払われた割増賃金の平均額:1企業当たり1,072万円、労働者1人当たり7万円
※是正の対象となった企業のうち、1,000万円以上支払った企業数は196企業

 今回、是正企業数は前年度よりも減少しましたが、対象労働者数、支払われた割増賃金の合計金額が増加し、対象労働者数はこの10年間で初めて20万人を超えています。また、1企業での最高支払額は14億1,328万円で、業種は製造業となっています。

2.労働基準監督署の監督指導事例
 厚生労働省より「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」(以下、「指針」という)が出されており、労働基準監督署はこれに基づいて監督指導を実施しています。今回の対象となった企業に対しても、この指針に基づいた取組が行われているので、以下では労働(残業)時間の申告時刻とパソコンのログとの乖離があるケースをみておきましょう。

[賃金不払残業の状況]
 会社は、労働者に各自のパソコンに労働時間数を入力させることにより労働時間管理を行っていた。入力された労働時間数とパソコンを操作した時刻から把握した時間数に相違がみられ、また、入力された労働時間数を超える時間外労働が一部の労働者に認められた。
[労基署の指導内容]
 事業主に対し、労働時間について実態調査を行うよう指導し、その結果、確認した賃金不払残業について是正を勧告した。併せて、(1)労働時間を適正に把握するための労働時間管理の方法について改善策を検討すること、(2)定期的に実態調査を行い、労働時間の把握が適正に行われているか確認することなどについて指導した。
[企業が実施した解消策]
 労働者に過去の時間外労働時間を再申請させるなどし、不払となっていた3ヶ月間の割増賃金(約260人に対する合計約120,000時間分)を支払った。
 また、(1)時間外・休日労働を行う場合には事前に申請し、上司の承認を得ること、(2)総務部署が、月に1回各部の労働時間が適正に把握されているか確認すること、(3)社内に労務委員会を新設して継続的に労働環境の改善に取り組むこと等の改善策を講じた。

 今回のケースにように、労働時間を従業員に申告させている企業は少なくないでしょう。そのような企業は、この事例にあるような状態となっていないかチェックを行い、問題があれば早めに対策を行いましょう。

■参考リンク
厚生労働省「監督指導による賃金不払残業の是正結果(平成26年度)」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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