会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2017/01/12


 坂本工業の木戸部長は、最近、家族手当について、配偶者への手当支給が見直されつつあると聞き、社労士に他の企業の動向を聞いてみることにした。

 こんにちは。最近は女性活躍という言葉をよく耳にするようになりましたね。弊社でもかつては配偶者が専業主婦という従業員が多かったのですが、最近は若手を中心に共働きが当たり前になっているように感じています。

 確かにそうですね。少子高齢化で労働力が不足する日本にとって、女性の労働力には期待せざるを得ない状況がありますからね。まさに国を挙げて、女性がより働きやすい環境の整備が進められています。

 そうなると、問題になるのが、配偶者への家族手当の支給なのですが、弊社では現在、所得税法上の扶養家族である配偶者と子どもを対象に手当を支給しています。このルールは適切なのでしょうか?

 当社の家族手当は、専業主婦の奥さんと、2人の子どもを養うという前提で当初作っていたけれども、先ほどの話のように最近は共働きで奥さんがパートで一定収入を得るようになったり、また、夫婦の選択として子どもを持たなかったりとライフスタイルが多様化していることもあり、手当を作ったときと前提が違ってきているように思っています。

 なるほど。まず、世間の一般的な状況を確認するには、人事院の「平成28年職種別民間給与実態調査の結果」(以下、「調査結果」という)が参考になるでしょう。この調査結果で家族手当の制度があると回答した企業は、76.8%となっています。この数字を見ると、家族手当は多くの企業で導入されている手当であると分かるのではないでしょうか。このうち、配偶者に家族手当を支給する企業が87.0%であり、さらにそのうち85.4%が配偶者の収入による制限を設けています。配偶者がいることだけではなく、所得税の配偶者控除に該当する人や、健康保険の被扶養者に該当する人等を支給対象にしているのですね。

 やはり、配偶者がいることのみではなく、当社同様、何らかの基準を設けて支給しているのですね。ちなみに、家族手当の支給額についても調査が行われていますか?

 残念ながらこの調査結果では手当の支給額までは触れられていません。ただ、最近、公務員の家族手当に相当する「扶養手当」の見直しが行われましたので、この資料が参考になるかと思います。

 それはどのような内容なのでしょうか?

 公務員に関しては、人事院勧告として給与改定の内容が公表されています。それによると、扶養手当の見直しとして、配偶者13,000円、子ども6,500円、父母等6,500円が支給されていたものが、平成27年度より段階的に配偶者6,500円、子ども10,000円、父母等6,500円の支給へと変更になっています。経過措置が設けられているため、完全に変更になる時期は、平成30年4月1日となっています。

 なるほど、配偶者に支給されている手当の一部を子どもに振り替えるような対応がされたのですね。

 そうですね。共働き世帯が増える一方で、子どもの教育費負担等は大きくなっていると思いますので、配偶者に対する減額分を原資にして、子どもに対する増額分に充てる措置が取られたことになります。子どもがいない人や子どもが1人しかいないに者とっては、手当の減額になりますが、子どもが2人以上いる人にとっては、増額になります。

 社会環境の変化に対応した変更ということですね。

 そうですね。一方的に減額をするのでなく、手当の支給が本当に必要な人を見直し、原資を再配分している点は企業が家族手当の仕組みを変更する際にも参考にすべき点なのでしょう。また、減額される人についても影響をできるだけ少なくする観点から段階的に実施している点もチェックしておきたいところです。

 なるほど。確かに手当を急激に減らすと、生活に影響が出てくる従業員がいるかもしれないので注意を払わなくてはいけないですね。

 そうですね。公務員の事例は、配偶者の減額分を毎月の子どもに対する扶養手当の原資としましたが、場合によっては、子どもの入園・入学に対する一時金の原資にすることも考えられます。どのような場面で手当を支給されることが従業員にとって最良なのかを、この機会に検討することもひとつの方法かと思いますね。

 ありがとうございます。所得税の配偶者控除も変更になるというニュースもありましたし、今後、このような法改正も踏まえて、検討を進めていきたいと思います。


>>次回に続く



 今回は、家族手当の見直しについて取り上げましたが、ここでは住宅手当の支給状況について確認しておきましょう。調査結果によると、住宅手当を支給している企業は、50.2%にのぼり、借家・借間には92.9%、自宅(持家)には64.9%の支給になっています。この住宅手当についても、この機会に支給目的や支給額について考えてみてもよいかもしれません。

■参考リンク
人事院「平成28年職種別民間給与実態調査の結果」

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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