旬の特集
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文書作成日:2016/07/28



 平成24年8月10日に成立した「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金強化法)により、これまで対象外とされてきた短時間労働者(以下、「パートタイマー」という)に対して、健康保険・厚生年金保険の加入の適用を拡大することが決定されました。この部分の施行は平成28年10月1日であり、法律の成立から施行までかなりの期間がありましたが、いよいよ施行の日が近づいてきました。そこで今回はその具体的な内容について確認しておきましょう。


 今回、適用拡大の対象となる事業所は、厚生年金保険の被保険者数が501人以上の事業所です。同じ企業で適用事業所が複数ある場合には、法人番号が同じ適用事業所を同一の事業主と考え、この事業主の単位で一つの事業所として扱われます。なお、個人事業所の場合には現在の適用事業所が一つの事業所として判断されます。該当した事業所は「特定適用事業所」と呼ばれることになっており、この特定適用事業所に該当するかの判断は、1年で6ヶ月以上、厚生年金保険の被保険者数が501人以上になっているかで行われます。



 これまで、健康保険・厚生年金保険に加入する人は、正社員のほか、1日または1週の所定労働時間および1ヶ月の所定労働日数が正社員の所定労働時間および所定労働日数のおおむね4分の3以上であるパートタイマーとされていました。この基準は法律で定められているのではなく、厚生労働省内部の文書を根拠としています。今回、年金強化法が施行されることで、この文書は廃止となり、法律により特定適用事業所で勤務する(1)から(4)のすべてに該当する人が、健康保険・厚生年金保険に加入することになります。

(1)週の所定労働時間が20時間以上であること

 週の所定労働時間は、就業規則や雇用契約書等により、その人が通常の週に勤務する時間を指します。なお、通常の週とは、祝祭日やその振替休日、年末年始の休日等の休日を含まない週のことを指しています。また、週の所定労働時間が1ヶ月単位で決まっている場合には、1ヶ月の所定労働時間を週の所定労働時間に換算する(※)ことになっています。労働時間に関する契約は様々かと思いますので、個々の契約を確認し判断する必要があります。
※ 計算式:[1ヶ月の所定労働時間]×12÷52

(2)雇用期間が1年以上見込まれること

 雇用期間については、雇用期間の定めがなく勤務している人のほか、雇用期間が1年以上である人や、雇用期間が1年未満であっても、契約が更新されることで1年以上の勤務が見込まれる人等も含まれます。

(3)賃金の月額が88,000円以上であること

 賃金額は、週給、日給、時間給は月給換算をし、基本給のほか、各諸手当等を含めた所定内賃金の額が、月額88,000円以上であるかにより判断します。ただし、以下のものは除外して考えることになります。
・結婚手当、賞与等の臨時で支払われるものおよび1ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの
・割増賃金等の時間外労働、休日労働および深夜労働に対して支払われるもの
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当等、最低賃金法で最低賃金額として算入しないことを定められたもの

(4)学生でないこと

 大学、高校、専修学校等に在学する生徒または学生は適用対象外となります。ただし、卒業見込証明書を有する人で、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同じ事業所に勤務する予定の場合には被保険者となります。

 



 今後のスケジュールは、特定適用事業所に該当することが確定した事業所、特定適用事業所に該当する可能性がある事業所によって通知の内容や手続きが異なり、また施行日以降についても以下のスケジュールで行われます。

a.特定適用事業所に該当することが確定した事業所

 特定適用事業所に該当するかは、毎月の厚生年金保険の被保険者数により判断されます。平成27年10月から平成28年7月までの各月の厚生年金保険の被保険者数が6ヶ月以上、501人以上になっている場合には、平成28年8月頃に「施行日に特定適用事業所に該当する旨のお知らせ」が届き、平成28年10月頃に「特定適用事業所該当通知書」が日本年金機構から届く予定です。平成28年10月以降には、適用拡大に伴い新たに被保険者となる人の被保険者資格取得届を提出することになります。

b.特定適用事業所に該当する可能性がある事業所

 平成27年10月から平成28年7月までの各月の厚生年金保険の被保険者数が501人以上となった月が5ヶ月ある事業所には、平成28年8月頃に特定適用事業所に該当する可能性があるとして「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が日本年金機構から届く予定です。その後、特定適用事業所に該当した場合には、特定適用事業所該当届を提出することになります(原則として平成28年8月に501人以上になった事業所を除く)。また、平成28年10月以降に適用拡大に伴い新たに被保険者となる人の被保険者資格取得届を提出することになります。
 なお、平成27年10月から平成28年8月までの各月の厚生年金保険の被保険者数が501人以上となった月が5ヶ月となる事業所にも、平成28年9月頃に特定適用事業所に該当する可能性があるとして「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付されるため、同様の手続きが必要になります。

c.施行日以降のスケジュール

 法律施行後についても、直近11ヶ月のうち、厚生年金保険の被保険者数が5ヶ月間、501人以上となった場合に、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が届く予定となっています。該当した場合には、特定適用事業所該当届と新たに被保険者となる人の被保険者資格取得届の提出が必要になります。

 この適用拡大により、新たに被保険者となる人については、それまで加入していた健康保険等の手続きが必要になります。特定適用事業所に該当しない企業であっても、配偶者や家族が適用拡大の対象となったために、被扶養者から除外する手続きを行なうケースが出てくるため、内容を把握し、手続き漏れがないようにしましょう。

■参考リンク
日本年金機構「平成28年10月より短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が始まります。」


※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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